夏休みもあと一週間ほどになりました。秋学期初日は24日で、初日から「休日授業日」です。秋学期は休日のない10月が山ですね。11月は学園祭でスカスカですし、12月はもう冬休みですし、1月は授業1回期末1回です。
長期休暇中は何だかんだと意外に月2、3回東京に行く用事ができたりするものですが(実際、8月中に必ず母校に行くことになるはずだったのですが)、 今のところ学期終了の翌週(7月下旬)以降、東京には行っていません。基本的に週3日しか家から出ない上、部屋の掃除以外の家事もしておらず、ただひたすら机に向かっていますので、筋力が著しく低下して大変なことになっております。
研究関連では、学術雑誌Arthuriana誌のSilence特集号で読み残した論文を読み終えました。教え方の提案に関する論文まであったのは面白かったです。登場人物なりきりインタビューとか、演じてみるとか、(悪役である)王妃の裁判を行うとか。
しかし、キャラクターになりきるのは結構難しそうですね。ついつい自分のことが入ってしまったり、あるいは自分と違い過ぎてなりきれなかったりするかもしれません。
インタビュアー「マーリンさん、なぜ、肉のほうへ走っていってしまわれたんですか?」
マーリン役の学生「肉焼いてたら普通そっち行くだろ」
インタビュアー「植物性の食事がNurtureだ、ということでしたが・・・」
マーリン「やっぱりビーガンはNatureに反すると思うんだよ」
王妃の裁判は弁護が難しそうです。
王妃はノルウェー王女で、イングランド王の妃となるのですが、男装したSilenceを好きになってしまい、誘惑しても拒まれるので、「Silenceに襲われた」と虚偽のアピールをし、Silenceが死刑ではなくフランスへの追放になってしまうと、今度はイングランド王の親書をすげ替えてSilenceの死刑を命じる手紙をフランスへ赴くSilence本人に持たせ、・・・といったように、とにかくSilenceを陥れ、死なせようと頑張る上に、自分自身は修道女を装った愛人を囲っています。王妃に非があり過ぎます。
そもそもSilenceが男装なんかするからだ!と主張したければ、男装を決定したSilenceの父、Cadorも召喚しなければなりません。中世の貴族の女の子が、父親に逆らうのは難しいでしょうし、そもそも父が娘の男装を決めた理由は「イングランド王が女性の相続を禁止したので、娘に相続させるため男子のふりをさせた」ということなので、イングランド王にも元凶があるともいえます。
あとは、ノルウェーから、戦争の講和の品物かのように連れてこられてしまったという境遇も弁護のポイントにできるかもしれません。
さて、この記事の本ですが、書名はTranslators and Their Prologues in Medieval Englandで、先日刊行された日本中世英語英文学会の学会誌SIMELLに書評が掲載されました。秋学期開始と同時に洋書専門書を読み始めて10月末までに原稿を提出するというのは本当に大変なことでした。とにかく全ての空き時間を本書を読むことに費やした記憶があります。本書の著者は若い女性で、確かケンブリッジ大学の学位論文をもとにした研究書だったと思いますが、英語が母語という点を差し引いても、既にこの知識量、調査量があるというのは感服を通り越して恐怖感に近いようなものさえ感じなくもありません。全ての点で自分は圧倒的に負けていて、しかし論文発表という面では同じような土俵で勝負していかなければならないのですから。この研究書は全く難しくないので、気軽におすすめできる本です。分かりやすくて勉強になる本です。
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