2018/02/08

Silence読了

5月の学会発表で取り上げる作品を、漸く一昨日読み終わりました。
Silenceは13世紀フランスの、韻文で書かれた物語で、同名の女性主人公のストーリーです。

<あらすじ>
イングランド王Evanはノルウェー王女Eufemeと結婚する。王の臣下Cadorはドラゴン退治の褒美として、コーンウォール伯の娘Eufemieと結婚する。
ある伯が双子の姉妹と結婚して、どちらが長女をとるか(相続狙いで)争った挙句相討ちになってしまったため、こんな理由で伯たちを失った王Evanは女性の相続を禁ずることにした。
そんな中、CadorとEufemieに子供ができる。相続ができるように、例え女の子が誕生しても男の子として育てることに決め、結局女児が誕生したため、Silenceと名付け、男児のふりをさせて養育。

成長したSilenceは王Evanの許に出仕するが、そこで王妃EufemeがSilenceに恋してしまう。Eufemeの誘惑をはねつけるSilenceに怒った王妃は、「Silenceに迫られた」と嘘を言って夫である王に復讐を迫る。仕方なく王は手紙を持たせてSilenceをフランス王の許へやることに。
しかし、王妃は自ら、Silenceを死刑に処すようにと手紙に書いて王の書簡とすり替えてしまう。

フランス王の許に到着したSilenceだが、フランス王は書簡を見て葛藤し、臣下の伯たちの「こんな手紙をイングランド王が送るでしょうか?」との助言により、Silenceが持参した書簡を同封した手紙を王Evanへ送付。

イングランド王Evanはフランス王からの手紙を読み、同封されていた自分の手紙を見て、自らの書記を問い質し、王妃の仕業と気付くが、面目を保つためさしあたり他人のせいにしておく。

やがて騎士叙任されたSilenceは武勇に優れ、イングランド王に対する反乱の戦が起きると王Evanに呼ばれ、王を助ける。再びSilenceに迫った王妃は拒まれた為、王に「Silenceに迫られる」と訴え出て、国王夫妻は「女性の策略によってのみ捕らえられる」という魔術師マーリンを連れてくるという無理難題をSilenceに課すことにした。

しかしSilenceは実は女性なので結局上手くいき、マーリンが全てを暴露して、王妃は四つ裂きの刑に。女性の相続も再び認められ、Silenceは王Evanの妃となった。





ということで、大筋はありがちな感じではありますが、NatureとNurtureが普通に登場人物として出てきて互いに喧嘩したり、言葉遊びのようなところがあったり、(当時のミソジニー伝統に比すれば全く大したものではありませんが)女性批判があったり、当世批判が結構あったり、Silenceに迫るイングランド王妃とSilenceの母親のコーンウォール伯令嬢とが酷似した名前であったり、色々と興味深い点が多く、是非多くの方に読んで欲しいと思った作品でした。文学研究において様々なアイディアを考えるのが得意な人なら、かなりの材料が見つかりそうです。

本作はマーリンが登場し、重要な役割も果たしますが、円卓の騎士やアーサー王自身が登場するわけではないので、「アーサー王伝説」のくくりには入れられない気がします。聖杯も勿論言及されません。
とはいえ、マーリンが、「靴買ったってあの人すぐ死ぬのに」と予見した有名なエピソードがなぜか入っている他、Silenceがマーリンを捕らえる時に、マーリンの死を求める理由として「私の祖先(=アーサー王の母イグレーヌの夫)を殺したから」と述べて、Silenceがアーサー王と一応遠縁であるということになっています。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。