2015/08/21

プランC

さて、前回書きましたように原稿(日本語論文または日本語随筆/研究ノート)執筆は、一旦書き上げたらあまりに酷い出来で(プランA)、随筆版も作り(プランB)、考え直して新たな論文版を書き(プランC)・・・※但し序論に該当する部分はほぼ全共通
そして本当にプランCでいくことになりました(苦笑)。先生よりアドバイスも頂きましたし、これも前回書きましたようにグロッサリー(巻末の語彙解説でミニ辞書のようなもの)がない中世英語の本で、Oxford English Dictionary、Middle English Dictionary(中世英語の辞典)、Chaucer Glossary(チョーサーの使った単語のミニ辞典のようなもの)を駆使してもまだ不明だった箇所が、先生にご教示頂いた昔のスコットランドの言葉辞典で解決!

まあ確かに作品は北部の英語で書かれていて、現在の普通の英和にも載っている単語の場合、スコットランドとの表示があったものも在りました。

このスコットランドの言葉の辞典はOxford English Dictionary等と同様、百科のように何巻にもわたる冊子で、一冊の厚みもかなりのもの。今日は筋肉痛です。

探していた絵も見つかりましたし、今年ずっと気にかかって仕方なかったこの原稿も完成のめどがたって一安心しています。

2015/08/16

不親切なエディション

さて、原稿執筆は迷走しております。(笑)何とプランC(一万字)が完成に近づいてきました。但しプランA、B、Cは前置き部分が共通ですので、何も100%違うものを三本書いたわけではありませんが。

冬に行う学会発表については主張したいことが固まっているのに対し、今度の原稿は大まかなテーマが先に在ってそれに合わせていきながら書くので逆にやりにくいのです。春休みのうちに指導教授であった先生に相談してはあるのですが、そこでもまだ大まかな枠を設定しただけですので、では具体的にどうもっていくかとなるとなかなか固まりませんでした。「材料はあるけど主張がない」という状態です。

まず大枠は「幻想」と「子供」です。そして私の専門「中世」がそこに必然的に加わります。更に先生と相談の結果「例話」という枠もできました。(例話とは教訓的物語の短編集のようなものです。)
そこで例話に関する論考を書いてみたら、集めた例話の例を基に主張できることが大して無い上に、一切幻想でないことに気づき、急遽随筆版を作成しました。(今回の原稿は論文でも随筆でも可なのです)随筆版では一転、物語文学の例をいくつか紹介して、随筆ですから特に論もありません。しかしやはり幻想度(?)が足りない。そして前半は先行研究概観&批判になっているから随筆にもなりきれていないような・・・

ということで、例話奇蹟譚バージョンを書いてみたのがプランCです。奇蹟なら必然的にsupernaturalですし、このプランC原稿だと「中世」「幻想」「子供」「例話」のキーワードを全て網羅していて一応主張も盛り込めます。まだまだ主張部分が弱いのですが、あと数日で何とか形にしたいと思います。私自身は最後に始めたこのプランCが一番マシな気がしてきました・・・。
一般に販売されることになるものなので、文章は必然的にややくどくなります。何も知らない人が読むことを想定しているので、説明が増えるためです。


ところで作品自体はEETSのエディションを使っています。EETSとはEarly English Text Societyの略で、EETSは昔々の中世時代の英語作品を大量に刊行しています。ですからEETSの本というのは非常に定番の物なのですが、私が使っているこの一冊はなぜか前書きも序論もあとがきも無い上にグロッサリーも無いという大変不親切な物です。なぜ・・・

グロッサリーというのは本の巻末についているミニ辞書のようなもので、その本に入っている作品における各単語の意味が出ています。中世の英語の辞典を引いてもいいわけですが、普通の英和辞典同様多くの定義の中でどれが当てはまるか考えねばならず、その作業は現代英語とは異なり中世の作品の場合は必ずしも容易ではありません。グロッサリーを使えばその特定の作品の特定の箇所においてその単語がどういう意味であるかということがすぐに分かるので便利です。(そのかわり、グロッサリーを作った人の読みに従うということにもなりますが)

しかしこの本、グロッサリーが無いので中世の英語の辞典を引いて四苦八苦しております。中世の英語はまだスペリングが固定していないので、つづり字がてんでばらばら、即ち辞書を引きにくいのです。いろいろなバリエーションがあるスペリングのうち一体どれが見出し語になっているのかという問題が発生するからです。
調べていくうちに、中英語辞典よりも誰もが知るOxford English Dictionaryのほうが逆に楽だということに気付きました。
中世のスペリングと文脈から考えて「きっと今の英単語ではこれのことだろう」とあたりをつけてOEDで引いてみると、古英語・中英語時代のスペリングのバリエーションもかなり網羅的に見出し語の下に並んでいるので、現代の英単語ではまさにこれだ、ということが確証できます。OEDはどの時代にどういう意味で使われていたかも書いてありますから、中世にどのような意味だったか、今と同じでOKかどうかも確認できます。
あまりに予想がつかないスペリングの場合はチョーサー・グロッサリーという本も参考にしました。これはその名の通り『カンタベリー物語』で有名なチョーサーの作品用のグロッサリーです。チョーサー作品限定とはいえ、中世のつづり字の単語が並んでいるわけですから、先述のEETS刊行の作品中にみられる単語と比べながらいろいろ探して、現代の英単語の何に該当するのかあたりをつけてOEDを調べる、という手順を踏みました。

ここまで細かくみているのも論の為というよりは作品の引用文が日本語でなければならないからです。何と面倒なのでしょうか。中世の作品を自力で和訳するのは、授業で講読する場合にはいいですけれどもpublishするものを訳すとなると相当気を遣いますね。
英語は15世紀のもので、中世の英語といってもかなり後期にあたり、古英語に近い初期中英語と比べれば随分簡単なのですけれども、それでも分かりにくいところはあります。ここまでやってまだ見当がつけられていない単語さえあります。そこでグロッサリーが無いのが大変困るのです。

また、序論がないのも困ります。序論があれば作品紹介を書くのに便利なのに、いきなり本文開始です。


必要な本は春学期の間、慶大日吉キャンパスに通勤する度にコツコツ集めました。意外と(三田ではなく)日吉の図書館に必要な本が揃っていて、日吉図書館の4階(教職員・院生限定フロア)に結構寄りました。

さて、忘れかけていたのが基本的に図版がマストという規定であります。別に写本の挿絵研究でもありませんので、必要な図版はないのでかなり悩みます。その上コピーライト問題が厄介ですし、早めにやっておけば良かったのですが論自体が早めにできませんでしたからね・・・一応春休みから取り組んではいるのですが。

2015/08/11

お盆休み

年末年始同様、いやそれ以上に何もないお盆休みを過ごしております。父の勤務先企業の夏休みも東京のお盆も含めてお盆と一切無関係な時期即ち先月末でした。

お盆休みは大学が完全CLOSEしてしまうので結構困ります。大学図書館も丸々一週間休館です。その他諸々の事もお休みになっていて、結果的に夏休みで一番フリーな時期といいますか、一番何もない時期といえるかもしれません。ですからここが頑張り時です。

夏休みもあと6週間弱です。さしあたり原稿プランA(一万字)、プランB(八千字)、学会発表原稿(まだ半分未満)を打ったところです。全て日本語なのですが、母語で原稿を書くというのはこれほど楽なものなのかと改めて実感しています。かなりのスピードで書けますし、思うままに表現できます。留学の際、英語を母語とする院生が3日で12000語の修士論文を書くことができていたのはこういうわけだったのだろうかと思う次第です。


ところで、私が初めて手にした学会の名簿を見ますと、現在教授の先生方がまだ院生であったりします!そんなに月日が経ってしまったのかと驚くばかりです。