2014/05/26

Saracens and the Making of English Identity

金曜日の夕方、4月に注文した本がようやく届きました。
結構な値段でしたが、丁度アマゾンギフト券があったので、それを駆使して安く買うことができました。
確か論文集の参考文献一覧表を見ていて着目した本で、Robert Allen Rouseの論文(2008)の注にも記されています。2005年Routledge刊の研究書です。
 




多分日本の大学図書館にはないので、読むには海外の図書館にあれば取り寄せるか、大学図書館に購入希望を出してみるか、古本で探すか、自分で買うかです。この前初めて購入希望を出してみたところスムーズに通ってしまったのですが、今回は自分で買ってみることにしました。何か非常に興味を引かれたもので。

中世文学におけるサラセン人について文献集めをしていく中で、当初自分では考えていなかった、そして今回取り組んでいる内容に含める予定もなかったnational identityのテーマが出てきました。私はあくまで宗教対立の程度とかいった問題からこのトピックを見ていたのですが、文学作品中のサラセン人という他者(Other)の存在に対比するものとしての自己and/or国家のアイデンティティの形成、という方向性の論文がいくつも出てきたのです。
逆に中世イングランドのnational identityのテーマを考えても、やはりサラセン人というトピックからのアプローチはあまり考慮した事がありませんでした。
さらに副題がThe Auchinleck Manuscript。National Library of Scotlandが所蔵するこの写本は多くのロマンス(物語文学)はじめ沢山の作品を収録していることから中世英文学界においては特に有名な写本の一つです。この写本の事が論にどう絡められていくのでしょうか。
読む暇があるのかどうかが問題ですが(笑)、どんな内容なのか楽しみな本です。

2014/05/09

一般サービスのネイティブチェック

ネイティブチェック、つまり英文レポート、論文、原稿などを書いた時にネイティブスピーカーに英語のミスを直してもらう作業に関してはこちらの以前の記事に書きました。

ここで、エディテージやIRIS INTERNATIONALなどの一般のサービスによるネイティブチェックについても触れましたが、こういったところは迅速、徹底校正ですが高額なので、非常に分量が少ない場合(要旨など)の場合には良いと書きました。

しかし一つ大きな問題は、彼らは門外漢だということです。非常に多くの分野に関して専門的知識を持った人材を揃えていることがPRされていますが、やはり中世文学の知識を求めるのはあんまりでしょう(苦笑)。
全く分野の違う方が英語を直すとどうなるかというと、すさまじい勘違いが起きてしまうことがあるのです。私の英語力が不足しているだけかもしれませんが、修士論文、博士論文、雑誌論文(2本ぐらい)、レポートなどを専門分野のネイティブスピーカーに直してもらった時はこのようなことはありませんでした。
例えば以前、中世の修道院長アエルレッドが聖書の一節を執筆したというふうに直されていた時はさすがに驚きました。聖書の著者が中世の修道院長だとは!これは専門的知識以前の問題ではないでしょうか。
そして今度は、『ゲスタ・ロマノールム』という物語では友情の大切さが強調されている、と直されました。しかしゲスタは教訓的物語集であって一つの話のタイトルではありませんし、従って本全体が何かを一貫して訴えているということでもありません。それが知られていないこと自体は当たり前なのですが、英和辞典だけで調べがつくことでもあります。
写本では物語と年代記が一緒に合冊になっていることがあるという箇所では、物語が年代記の中に組み込まれていると直されてしまいました。

まあそういったことが重なって、主張も事実も大幅に異なる英文が出来上がってしまい、これではとても提出できないので、クレームをつけないタイプの私もさすがに訂正点を送信したところ、日本語では通じないということで、英語で一生懸命書くことに・・・タダでやり直しさせるということになりましたが、結果はいかに。


さて、こういった一般サービスの英文校正のもうひとつの特徴は、徹底的に直すあまり文体などからして全く違うものになるため、自分が書いたものとはいえないような英文が出来上がることです。
英文科外国人教員や、先程リンクした以前の記事で紹介したJeremy Lowe氏のサービスなどは基本的には間違いを直して下さるものなので、自分で書いた英文と根本的に違うものにはなりません。
前者の直し方の方がネイティブっぽいこなれた英文になっているかもしれません。しかし、あまりにも自分で書いたものが残っていなさすぎて、何だか剽窃したかのような気分になってしまうほどです。「この論文は自分で書いたものだ」と胸を張って言えない感じです。校正者の方が書いた英文と言った方が近いからです。
一方後者の直し方では、こなれ具合がイマイチなのかもしれません。外国人が書いた英文だなーという印象を与えるものかもしれません。しかし、自力で書いたものだ、と思えるものに仕上がります。
一般論としてどちらが良いのかは分かりませんが、自分自身としては後者の方を選びます。いまひとつな部分もあるかもしれないが、これが自分の力で書いたもの、英文が多少良くないなという部分はひとえに自分の責任、と正々堂々と言えた方が良いです。アメリカ人ぽく書けているかもしれないけれど、これ、ほとんど自分が書いた英文じゃないし・・・というのはすっきりしません。

2014/05/06

GW終了

次回の休日は秋分の日です(去年はありませんでした)。その次の休日は文化の日で、さらにその次は(元旦以外では)成人の日です。

ともかく、来週以降10週間ノンストップとなり、毎年この時期の疲労が自分の中で問題となります。前期末にはもうこれ以上働けないと思う程疲れてしまいますが、労働量は会社員や専任教員の何分の1でしかないでしょう。先が思いやられます。

前期と後期を比較してみたところ、前期は休日なく連続するのが最大10週間であるのに対し、後期は何と最大3週間(12月)でした!


さて、「祝日授業実施」が行われる2011年度以降の私大においては幸いな事に、GWはカレンダー通りでしたが、休日の間、何本か論文を読むことができました。
昨年度は月~木が授業だったので、月~金授業実施及び準備、土日研究を目標としていましたが(あまり達成できませんでしたが・・・)今年度は同じく月~木が授業で時間割も一緒ながら、授業準備を更に要領よくしかも昨年度より綿密に行うことができています。そこで、月~木授業実施及び準備、金土日研究、を目標にしています。ロンドンでの学会発表もあることですし。
それにしてもたった数本論文を読むだけでも研究的にも気分的にも随分違いますね。思いがけず前回記事に書いた『リチャード獅子心王』の乾杯の挨拶に関する論考にも遭遇しました。


学会役員の仕事も始まりました。私の業務は会計ですが、高校の部活でマネージャーだったこと(所謂野球部のマネージャー等とは異なり、財務管理を担当する役職)がこんなところで役に立つとは!という感じです(笑)。高校の部活でも、必要経費を各自払った場合は領収書を取って私に提出してもらい、私は出納帳にそれを記録し部活の口座から出したお金をその人に渡していました。学会でも基本的に作業はこれと同様です。部活では出納帳の項目ごとに番号を振り、同じ番号を領収書に書き込んで照合させておかなければならなかったので、寧ろこちらの方が細かい作業だったかもしれません!
学会のプログラムはボリュームたっぷりで、懇親会も豪華なものになりそうです。