2013/06/01

Medieval Literature for Children

早いもので6月になりました。進度にもよりますが、今までに終えた授業準備の範囲内で前期が終わりそうなので、週末のみならず平日も研究に振り向けようかと思います。昨年より2コマ増えたのに、昨年より時間がずっとあるとは・・・
 
さて、慶應義塾図書館より取り寄せた書籍があります。
 


ハードカバーの本の裏表紙に書いてあるこの文句が全てを語っています。
(引用)
Based on material, cultural, and historical evidence, many now agree that medieval parents valued their children as children, not as "miniature adults". If so, what were medieval children reading? How does it function as children's literature? What does it tell us about childhood in the Middle Ages?


そもそも歴史学的にも、子どもという概念(とりわけ、別個に特別の教育が必要である存在として)が誕生したのは確か近世以降であったと思うのですが―いずれにしてもかなり後の時代ではあったと思うのですが、上記の文面を見ると中世にだって子どもという概念はしっかりあったということになります。
現代の子ども観とはおそらく違うとしても、確かに生まれてくる存在としての子どもという認識は少なくともあるでしょうし、(実際中世の物語にも、「神がもっと子どもたちを送って(即ち、授けて)くださるでしょう」というセリフもありました)childという語もある以上、何らかの認識は実際ありそうです。

そこで興味深いのが、子ども文学。いや、もちろん今で言う児童書とか、子ども向け絵本のようなものは多分無かったと思うのですが(さっきから推測ばかりですが、、、)児童書という存在が無くとも、何かの著述を子どもに触れさせることは勿論可能でしょう。

本書はそのタイトル通り「Medieval Literature for Children」と考えられる中世の作品の抜粋を集めてそれぞれに序論を付した研究書的アンソロジーになっています。借りたはいいがまだ目次しかチェックしていないのですが、教訓・道徳系、礼儀作法系、教育系、宗教系、娯楽系の5部構成になっており、中にはガワーのConfessio amantisやお馴染みGesta Romanorumまで入っています!ゲスタのラテン語は非常に難解というほどではないので、いくつか原典を先生や院生たちと読んだものです。ゲスタは教訓・道徳系コーナーに含められていて、確かにモラリザチオと合わせて寓話として子どもに読ませられるのかもしれませんが、情婦に騙されつづけるヨナタンの話とかはどうなんだろう(笑)。
ゲスタについて言えば(というかうちの大学ではゲスタという略称が超定着してるほど非常にお馴染みの作品なのですが、他ではどうなんでしょう?)中英語ロマンスGuy of Warwickと同じ話が入っているなどロマンスとの関係も深いです(Diane Speed, ‘Middle English Romance and the Gesta Romanorum’, Tradition and Transformation in Medieval Romance所収 参照)
子どもといえば、A Companion to Medieval Popular Romanceという本の第9章Young Readersや、Mary E. Shaner, ‘Instruction and Delight: Medieval Romances as Children’s Literature’, Poetics Today, 13:1 (1992) 515頁 という論文も読みました。超有名な写本The Auchinleck MSが家庭向けだったという指摘も二人ともしています。
とても面白いテーマなので、中世における児童文学みたいな感じでちょっと読み進めてみようかと思います。

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