2011/10/13

1コマ5万円

3コマ教えて声が変になりました(毎週のことです)。研究の方は、中世ヨーロッパにおけるアリストテレスの受容(翻訳・註解)の論を読んでいます。やっつけ仕事でもいいからとにかくドラフトを早いところ終えたいです。とずっと言ってますが。


さて、首都圏大学非常勤講師組合のプリントが配布されてそれを読み、思うところがあったので今日はそれを書きたい。
なんと組合としては1コマ5万/月 を目指しているという。大学の非常勤講師の給与は、大学によっても結構差があり一概には言えないが、週1コマ当たり月給2~3万円前後が相場ではないかと思う。組合の主張は、「専業非常勤講師」即ちフルタイムの仕事を持たない者が多数になってきている以上、非常勤だけで生計を立てられるようにせよということだ。
確かに、フルタイムの仕事に就くことが非常に困難である現状を鑑みれば、非常勤だけで生活できるようにして欲しいという要求は至極尤もである。先輩には、非常勤だけで食べていくには16コマぐらい持たねばならないと聞いた。確かにその通りである。

だが組合の主張は、専任講師と同様週5コマを教えても生活していけない、というものだった。

ここが正直なところひっかかる。

まず、5コマで生計が成り立たない事、同じコマ数を教えても専任とパートで給与が違う事は事実である。だが逆に、5コマというのは平均的にならすと当然月~金毎日90分の労働にあたる(授業準備などもあるので授業時間外の労働もそれなりにあるが)。1限~5限まで全て教えるということはあまりなさそうなので、1日で5コマが終わることは、可能ではあっても実際にはないかもしれないが、「3コマ&2コマ」で2日で終わることならありそうだ。
週5コマ持つだけで、場合によっては「月・火しか出社してない」みたいな状況でもう生計がたてられるというのは、自宅等における授業準備の労働を考慮しても、少々甘すぎないか。世間一般の人は怒ると思う。

一方専任講師の場合は、例え週5コマしかもっていないとしても、専任であれば、会議だの入試がどうだのと、様々な雑務に追われることは必至である。長期休暇中もである。一方、非常勤は授業以外にはresponsibilityが何もなく、長期休暇は完全に解放される。一概に担当コマ数だけでは比較できないところがある。

加えて、専任と非常勤がしている仕事は同じなのに・・・というポイントも述べられていたのだが、確かに大学で授業しているということ自体は同じでも、内容が違う。「専門科目は正社員に、語学は契約社員に」みたいな感じなのだ。「フランス文学史」とか「マクロ経済学」とかそういった類の専門の科目の講義や演習、ゼミには、ただ英語を教えたりするのとは異なった多量の知識etcが求められ、そういった科目はやはり専任教員が担当する傾向にある(但し、大学教授 兼 他大の非常勤 である先生などは勿論この限りでない)。

もちろん1コマあたりの給与が高いほど助かるのは確かだけれども(笑)、それ以上に、契約の安定を求めてはどうか。パートタイマーで少々給与が低くとも、とりあえずずっと雇用されていそうな見込みがあるだけでも違うと思う。



しかし「大学の非常勤」というもの自体一口にまとめられないからこの問題は難しい。
募集要綱が明記されている訳ではないので、応募資格は正確には謎だし、大学にもよるのだが、まあ一般的に暗黙の前提として「修士修了」はあると思われる。その上で、非常勤講師というのは

①大学院博士課程在学中の学生
②大学院は出たけれど、フルタイムの仕事を持たない人
③状態的には②だが、子育てなどの理由により必ずしもフルタイムの仕事を現時点では求めていない/できない、あるいは配偶者の稼ぎなどの理由によりフルタイムの職がなくても別にいい人
④大学のフルタイムの先生(教授など)でありつつ、他大学にも教えに来ている人

と、いろいろな立場の人がいる。
明治大学の場合は、年齢、博士号の有無、履修人数によって非常勤の給与に少し差があるが、万の単位は同じである。
だから、院生でもどこかの教授でも非常勤の給与はだいたいは同じわけである。
これをどう考えるか。
非常勤の給与がどれぐらい自分にとって死活問題なのか、どれぐらいそれに依存しているのかというのは①~④の立場によって異なる。④の人にとっては、本務校の給料があった上でのプラスアルファだけれども、②の人にはそれが全てだったりする。

だからといって、生活のための必要度に応じて賃金を設定し、20代のパートの先生>他大学の教授 という賃金体系にする訳にもいかないだろう。

難しい。


ただ、驚いたのは明治大学の授業の40%は兼任講師(=非常勤のこと)担当ということだった。もちろん、上の④のカテゴリの先生方もいらっしゃるので単なるパートタイマーというイメージでは括れないのだけれども、とにかくパートにこれだけ大学が依存しているということでもある。

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