2011/03/30

テキスト④

今度は指定教材(=私が決めたものではない)です。
目次を見てみると

1.英語の出発
2.危機一髪
3.苦難の時代
4.試練のなかでの進化
5.玉座奪還
6.新生イングランドの文学者チョーサー
7.神の言葉となった英語
8.国家の言葉へ
9.壮大な権力闘争の果てに
10.言葉のルネサンス
11."正しい"英語を求めて
12.永遠の作家シェイクスピアの英語
13.アメリカへの運命の旅
14.大いなる西部
15.川下に売られて
16.英語を"つかまえ"ようとした人々
17.正しい発音のために
18.蒸気機関、街路、そしてスラング
19.イギリスとインド、波瀾の関係
20.英語のるつぼ、西インド諸島
21.オーストラリア英語の宝
22."光と影"
23.英語の植民地化
24.英語に明るい未来はあるのか?

以上。

普通の全員必修の、語学(英語)のクラスなのですが、単なる語学の教材とは思えない内容です。
英語史から現代英語の諸相に関わる事まで扱っている壮大な本で、興味深く考えさせられるしかも学術的な内容が満載。大学に入っていきなりこの内容です。皆さん、折角ですから是非がっつり勉強してください。(単位取得の為にも!)

古代中世の辺りについては、フランス語・ラテン語が存在する中での英語という言語の地位向上、英語が国家意識、アイデンティティや英国性の概念形成に果たした役割が面白い点で、以下のような文献もあります。

Derek Pearsall, ‘The Idea of Englishness in the Fifteenth Century’, in Nation, Court and Culture: New Essays on Fifteenth-century English Poetry, ed. by Helen Cooney (Dublin: Four Courts Press, 2001), p. 15~

Ian Short, 'On Bilingualism in Anglo-Norman England', Romance Philology, 33:4 (1980), 467-79

Thorlac Turville-Petre, England the Nation: Language, Literature, and National Identity, 1290–1340 (Oxford: Clarendon Press, 1996) 


現代については、好むと好まざるとに関わらずlingua francaとなった英語、今や「ネイティブスピーカーだけのものではなくなった」世界の英語などが興味を引くポイントです。

しかし間違えてはいけないのは、これは英文科の授業でもなく、英語の授業であって、あくまでこの内容を教材にして英語の勉強をするということです。
とはいっても、私たちがこれだけコンプレックス状態になってまで勉強している英語というlingua francaがどのような歴史を持ち、今どのような状況にあるものなのか、確かに知っておくべきだと思います。

正直なところ英語史の面では私自身も忘れてしまっている内容も多く、何年も前から復習せねばと思っていたところなので(授業中、先生が院生たちの英語史の忘却具合に愕然とされることも多く・・・)私としても勉強になります。いい機会になります。

2011/03/25

Wisdom Books

旧約聖書ヨブ記、詩篇、箴言、伝道の書、雅歌、ソロモンの知恵、集会の書(シラ書)の総称です。Wisdom Literatureとも言います。

一言でまとめてしまうと、ことわざ的な文句が満載の箇所です。人生の指針のようなものもありますし、忠告もあります。ソロモンの知恵と集会の書に関してはプロテスタントでは外典扱いということもあって、何気なく書店で日本語の普通の聖書を購入すれば入っていない可能性が高いです。カトリックでは正典と認めており、現在も販売されているラテン語のウルガタ聖書には含まれています。

いわば格言がふんだんに展開されているので、後世の著述へ頻繁に引用されています。それこそ諺として、特別聖書の引用とは意識せずに日常生活に浸透していたのかもしれません。

Wisdom Booksは中世ヨーロッパにおいて美徳や悪徳を論じた著作の引用元として機能したばかりでなく、注解も施されています。この辺りが私も未だに不勉強なのですけれども、脈々と受け継がれる知恵文学伝統があったわけです。

但し、日常に浸透していたとすれば、どこからどこまで厳密に「聖書を引用した」と言えるか難しいところで、「普段よく聞く諺や格言が実は聖書由来だった」のかもしれません。もちろん、何かそれらしき事を言う時に、聖書が典拠であるという意識は昔の人の方が強かったかもしれません。

例えばFor, whan a man is in poverte falle, | He hath fewe frendes with alle (Bevis of Hampton, 3593-94)のように普通に物語の中にWisdom Booksの内容が挟みこまれていたりします。美徳などについてどっぷりと述べた著述はともかく、このように何気なく引用されている場合、「これは聖書の・・・からの引用である」といっても、必ずしも意識的なものではなく「結果的にそうである」というだけかもしれません。
とはいえそうだとすれば逆にそれだけ広く普及していたと考えることもできます。

2011/03/20

テキスト③



Colloquial Englishのクラスの教材に選択したのが本書です。OUPの教材で、レベルは3にしました。
口語といっても英会話教室のようなものでは必ずしもなく、映画の脚本を教材にする先生もいらっしゃるという説明を聞き、どのような教材でどのようなことを教えるかは非常に悩みました。

しかし、こちらも事前に大まかなシラバスが書かれていたのでそちらを参考に決めました。

シラバスを読むと、確かに英会話ということではなく、前期はリスニング、後期はプレゼンに集中した内容が組まれています。その為プレゼンについては以前記事に紹介した教科書を使うことにして、前期のリスニングについては本書を使います。
特に話す練習をするとはシラバスに書かれていないので、「リスニング&スピーキング」の教科書はちょっとどうかな?と思いましたが、授業全体の目標としてオーラルコミュニケーションも掲げられているので、少しだけ利用しようかと考えています。

リスニングのパートは、シラバスに「main ideaを掴む」「detailを掴む」という内容があるのですが、本書もそのような構成になっておりぴったりです。スピーキングのパートも会話というより表現や文法、発音なども重視されているので、授業に使えると思います。


また、本書とは別に、時にはTOEICの練習をリスニングに取り入れるかもしれません。かつて大学生の時TOEICを受けてリスニングセクションは495点だったので、テクニック的な面も伝えたいと思います。

2011/03/16

テキスト②

英語のリーディングのクラス用に採用したのがこの本です。

この前掲載したプレゼンの教科書同様、こちらもCUPのもので、レベル別に3段階になっています。
このクラスの教材や細かい授業方法は私の自由にしていいということなのですが、全クラスに共通した大まかなシラバスが既に存在していたのです。それを受け取って読んでみると、例えばパラグラフ全体の主張を掴む等いろいろなスキルを重視した授業内容になっていました。
そのため、最初は適当な洋書を1冊選んで読んでいくつもりだったのを変更して、普通のリーディングの教科書から選択しました。
こちらも都内大型書店でも店頭になかったためamazonのなか見!検索で眺めて採用決定してしまいました。

改めて実物を見るとオールカラーで親しみやすい紙面ですが、TOEICレベルで520~700のものを選んだので、決して子どもっぽい雰囲気ではなく、大学生に合った感じになっていると思います。
以下、各章の構成です。

  • Topic preview (あなたがホテルに泊まるなら・・・等個人的な設問を通してネタを概観)
  • Vocabulary preview (その章に登場する単語)
  • Reading (長文パート。6~8パラ程度で、一文の長さはやや短め、写真つき)
  • Reading check (日本の受験のような内容理解選択問題など)
  • Vocabulary check (表の単語を文中に組み入れる問題など)
  • Applying reading skills (読む速度、main idea把握などさまざまなスキル)
  • Discussion (その章の長文内容に関連した話)

こうして見ると、とりわけApplying reading skillsの箇所が、用意されたシラバスにある「main ideaを掴む」「原因と結果」「main ideaを支えるdetail」等の項目に沿っているし、英文レベルも丁度良さそうです。実物を見ずに決定したので不安でしたが、結果的にこれで良かったと思います。
また、長文のトピックも多岐に渡っており、楽しく読むことができそうです。

2011/03/13

二面性をもつ概念

例えば、curiosity。
日本語でも多少そういうところがあると思うのですが、好奇心を知識欲のような感じで捉えればよい意味になるし(様々な事に関心を持っている、とか)、単なる知りたがり、ちょっと詮索したり首をつっこみすぎたりといったイメージで捉えればネガティブな意味にもなります。単に「これは何だろう?」程度の、興味をそそられるというようなイメージでもあり得ます。

例えば、prudence。
こちらも、慎重で分別があるという意味で考えると、「賢明な人」という感じでいいイメージにもなり、逆に抜け目ない、打算的なイメージにもなります。

これらは現代英語でもそうだし、中世やルネサンスまで遡った時代でも同様です。極論すれば、「ヤバい」が「うわっ、これはまずい」というのと「これは凄いイイ!」というのと双方の意味を持ったような現象にも似ているのかも・・・というのはやはり強引ですね。

ともかく、こうした意味変化に単なる時代の変化以外で何か理由づけがあると興味深いところです。この辺りをちょっとリサーチしたいと思っています。friendshipの概念とも関連づけられないか?とも考えています。

2011/03/03

博士論文執筆

2章めを取り敢えず終了させて、3章めに取りかかっています。留学中に3週間で英文レポートを2本打った(リサーチ期間含む!)事を考えれば何でもないスピードに思えますが、期末レポートと博士論文とではやはり要求水準等が違います。
それでも、書かないことには推敲もできないわけで、論文執筆作業はreviseがより重要であることを考えると、やはりdraftは早く仕上げたいところです。

最初から優れたものが書ければそれに越したことはありませんが。

書くだけ書いてみて、論文として良く出来ていなくても、とにかくアイディアはそこに並んだわけです。そこから更に調べて考えた事を追加し、その分冗長だった部分、語数稼ぎ的になっている部分を削ればそれだけでも向上します。また、出来の良し悪しに関わらずとにかく規定量書いてあれば、一応論文がモノとしては出来ているという多少の安心感をもって改訂作業に臨めます。曲りなりにでも書いてあればこそ問題点も指摘できる訳で、空白では指導も改善もしようがありません。

そういう訳で、まずはスピード第一で進めます。