2011/02/18

Ywain and Gawain

フランス王ルイ7世&イングランドのヘンリー2世の王妃であったアキテーヌのアリエノールの娘であるマリー・ド・シャンパーニュの庇護の下執筆を行ったというクレチアン・ド・トロワ(1135?-90?)。彼の作品である『イヴァン、または獅子の騎士』の英語版を読みました。感動的な程忠実なライオンとイウェイン卿の冒険譚が語られ、結構面白い物語でした。なぜ『アンド・ガウェイン』なのかは後半に判明しますが、タイトルに並置するほどガウェイン卿がメインで出る訳でもありません。

英語に翻案されたものは4000行あまりの長さがあり、イヴァンにあたるイウェイン卿の妻となる女性に仕えるルネットという女性が印象に残ります。ルネットはイウェインとの結婚が理にかなうことを奥方に説き、イウェインには姿を隠す指輪を与えて守ってやり、最後の方ではイウェインと妻の和解を説きます。一応侍女という立場ではあるのでしょうが、むしろ奥方に色々と言い聞かせて結局従わせています(笑)。
通常こういう物語世界ではこのように何かと助けてくれた女性にはその報いとして高貴な男性を結婚相手としてあてがうといったことが行われるのに、この作品ではルネットのその後は「皆に尊敬され、自分の好きなように生きました」とキャリアウーマンのような自立した女性像という感じで一寸驚きました。どうやら独身で思うがままに人生を送ったようです。考えてみればルネットは奥方やイウェインに自分一人で助言や援助を行い、いわばしっかり者の女性といったキャラクターであったので、そのような人生が相応しかったのかもしれません。

この英語版はたった一つの写本にしか残っておらず(コットン写本)、その本の中には主に教訓的なテクストが収められているそうです。とはいえ、他にも世俗的なテクスト、『ローマの七賢』等の作品も入っているようです。

コットン写本は言わば「コットン氏のコレクション」。18世紀にまとめて火災に遭っているので損傷が多いのが特徴です。Ywain and Gawainを含む写本も消火の際にかぶったのか、水のダメージもあるとのこと。ページの周囲が焼け焦げている『ベーオウルフ』唯一の写本もやはりこのコットン写本のひとつです。

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